「稀代の変哲」とも称され、水曜日のカンパネラ・コムアイなどからも称賛を得るミュージシャン、清水煩悩が対談連載企画『煩算』をスタート。
音楽家、囲碁インストラクター、武蔵野美術大学職員、一橋大学社会学研究科 博士号課程、僧侶、芸術家、俳優、ラジオパーソナリティーといった様々なジャンルの「巷の人」をゲストに迎えつつ、足したり引いたり掛けたり割れたりしながらトークを展開。
来年リリース予定の3rdアルバムやミュージック・ビデオへと繋がるであろう本企画。
清水煩悩が、何を誰と語り合うのか、CAMPFIREで開始された150万円クラウドファンディングと合わせて、是非とも注目してほしい。
9月に開始された清水煩悩クラウドファンディング 終了まであと1日!
第7弾は、清水煩悩と共作を続け、フォロワーには馴染みのあるむこうぎしサウンドの代表・内藤学をゲストに迎えた。今回のクラウドファンディングと連なった様々な出来事をインディペンデントである彼らが、前・中・後編と制作/暮らしについて考えていく。
それでは『煩算』第7話〈後編〉、お楽しみくださいませ。
ちゃんと届いて広がってる
-これまでの『煩算』、振り返ってみてどう?
内藤:みんな俺より整理ついてるなって思ったかな。俺は、仕事とやりたいことの両立で結構苦しんでたから、そういう人がいっぱいいるだろうなって思ってたからこそ、クラウドファンディングみたいなものでお金を集めて好きなことをやる、ということを発信してけば、それが社会的にベーシックになって行くんじゃないかなって思ってたんだけど、煩算始めたらみんな結構整理ついてた。いいことなんだけどね。
煩悩:内藤くんは、こんなにクラウドが忙しくなると思わんかったって言ってたよね。
内藤:それは思いました。
煩悩:僕は想定通り。たぶん、俺が思ってた規模と内藤くんが思ってた規模がちょっと違ってた。内藤くんは、公開後は「待つ」、俺は「待たない」っていう感じやったから、そこが噛み合ってないまま始まっちゃったよね。対談企画に関しては、クラウド始めたタイミングでは考えてなかったけど、これくらいのことはやるやろうなって思ってた。今、ちょっと追われているのが楽しい。
内藤:そうはいってもね、5人くらいはいるだろうから。俺みたいに財政にあえいでるアンビシャスボーイズ&ガールズは。特に東京なんてね。
煩悩:そう思う。やってみて思ったのは、煩算とかもそうやけど、やってることって目先の利益はゼロやん。それをやれるかどうかってすごい大事。チームワーク然り、方向性の一致も然り、みんなが別の方角へ向いてたら難しい。それが案外、みんな同じ方角に向いてるなって。
内藤:そうだね、それはすごく思う。
煩悩:それがちゃんと届いて広がってる。友達が「読んでるよ」とか「どの回が好きやった」とか言ってくれたり、意外な人からも連絡きたりする。表面上は出てこやんけど、意外とみんなやってること見てくれてるんやなって感じた。久しぶりな子が急に「最近煩ちゃんキラキラしてていいなぁ」って連絡くれて、嬉しかった。見てくれてるなって思った以上、これはやるべきだっていうのもある。
内藤:間違いなくおもしろいことは確か。
煩悩:『煩算』っていうタイトルもそうやけど、インディペンデントがどう表現していくのかは、答えが出づらいことやん。こういうことしたら解決するよ、みたいなのは無いと思う。答えが出ないものに対して考えてみませんか?とか、こんな方法もあるんじゃないですか?みたいな話が、『煩算』でちょっとずつできてきてるなって。いろんなヒントになってる。僕はやってる側におるけど、おもしろいなあって思いながらやってる。自分がまず一番目の読者って感じ。
内藤:継続すること自体に意味があるなと思うよね、『煩算』というものを。クラウドが終わっても、気になる人がいたら話を聞きに行ったりしたいよねっていう話も出てたりするけど、ムーブメントって結局そういうこと。続けることが大事だと思う。
煩悩:『煩算』が、2000回以上続いた回とか想像したりしたんやけど、ちょっと歳いってから「今年の年号と一緒ですね」とか会話してるのを想像すると、超おもしろいなあって。それくらい根っこのあるコンテンツやなあって思う。
内藤:非営利でおもしろいことやろうぜって言ってやってる事自体がすでにインディペンデントだなって思う。
煩悩:利益追ってない。目先の利益じゃないというか。これがクラウドファンディングにどう影響してるかまでは分からんけど、もうすでに「対談企画を読んだからクラウドやりました」っていう人もおるやろうし、今まさにこの対談を見た後に支援する人もおると思う。逆に『煩算』を読んで支援をしなかったっていう人も全然おると思う。そんなんは自由というか、そういうことより「やりたいことやるってこういうこと」っていうのを考えたいとか、考えてほしいというメッセージがあるかなあ。
映画を撮りたい
-内藤くんがこれからやりたいことは?
内藤:精神的に言えば、公私を混同していくこと。具体的に言えば、映画を撮りたい。最近ふと、映画撮りたいって最近思ってなかったことに気付いて。仕事でやられてた時、まだ頭が公私混同できてないから、「公」のほうでやられて「私」が出来てなかったわけよ。けど、「久しぶりに映画撮りたい」って思って。
煩悩:この前、車の中で言われたやつね。映画撮りたいから、映画の原案を三行くらいで、何か思いついたもの全部頂戴って(笑)。
内藤:原案ね。本当もう、それに尽きる。
煩悩:前に僕が話した、好きな子の名前の入れ墨入れないと告白できない女子高生の話は?
内藤:あれいいよね。
煩悩:ずっと頭の中に映像がもうあって最後のロケーションとかも頭の中で決まってる(笑)。
内藤:そういうギャンギャンなやつをマイルドにするのが俺の仕事だと思ってる。
煩悩:俺はギャンギャン担当なんや(笑)。
内藤:そう。だからエッセンスをください、という。協業が板についてきてる気がするから。
クラウドファンディング以降の活動
-クラウドファンディング期間が終わったあとの活動は?
煩悩:まずは12月10日にクラウドが終わります。で、12月の末にぼくがクラウドのお金をもらう申請を出します。そしたら、2月の頭にお金がもらえます。ちょうどリターンを追加したんやけど、1月は新珍味でワンマンライブをやる。
内藤:楽しみだね。
煩悩:楽しみ。アコースティックライブをイメージしてる人もいると思うんやけど、ちょっとスピーカーを持ち込んで、エレクトロもやろうかなと。エレクトロというかね、あの空間でしか出せやん音というか、そういうのもやろうかなとか。3階を貸し切って。
内藤:池袋で乗り換えのために降りただけの人にも届くくらいの音量で。
煩悩:(笑)。それから、天川村でのレコーディングとか撮影の準備に入る感じかな。2月〜3月あたりから撮影とかは動き出しはじめる感じやんね。
内藤:そうだね。
煩悩:あれも楽しみ、ドキュメンタリー。撮影期間中にハンディカメラを回してね。撮影後のペンションに戻ってからの映像とかもおもしろいやろうし、凍えてる俺とか。寒いの嫌いやのに。
内藤:唇真っ青になってたりしてね。
煩悩:めっっっちゃ機嫌悪いかもしれやん(笑)。そういうのもありつつ、まず雪山でMV撮って、そのあと天川村でアルバムのレコーディング。それもドキュメンタリーには残るよね。
内藤:あとZINEね。
煩悩:ZINEね!最高。これはね、機材とか紹介したらおもしろいなあと思ってて。天川村にはほかのミュージシャンにも来てもらおうと思ってるんやけど。その写真を俺が写ルンですで撮ったりとかして。
あとほら、雪山撮影と天川村レコーディングの間でアンビエントというか、インストのアルバムを1枚作るから。歌のないのを作ってみようと思って。最近そういうのも出来るなあとか思ったりしてきてるから。そういう諸々がリターンで提示されてるから、チェックしてほしい。
内藤:0号試写もね!
煩悩:ね!これ内藤くんの激推しです!
内藤:激推しよ。0号試写っていうのは、出来上がった作品を一番最初にみんなで観るっていう。
煩悩:ちなみに、俺が内藤くんに質問するけど、ここで全部観れるもんなの?
内藤:観れる!もう出来上がったやつを関係者の中で「できました」ってお披露目するのが0号試写。このリターンはそこにご招待するという。この”兼ホームパーティー”っていうのが!
煩悩:大事なところ(笑)
内藤:そう。ただの0号試写だったら、まぁ観るんですねって感じなんだけど、兼ホームパーティーっていうのが激推しポイント。
煩悩:これ、煩算のゲストみんなに来てほしいと思ってて。みんなそこで集まってさ、あなたの回見ましたよ、とか話すのもおもしろいし。そもそもそういう人たちが集まれる場を作れること自体が楽しい。
内藤:とても良い。我々は結構、ホームパーティーみたいなことやるじゃん、こうやって打ち合わせみたいなのが最終的にホームパーティー的になったりして。あの空気感のままお届けするわけよ。
煩悩:めっちゃいい。カメラマン、銭谷ゆうきの特製手料理がとても美味しいよね。
内藤:これはもう完全に、銭谷料理長の料理は絶対だと思ってる。
ぜに:作ります。
内藤:おーーー!観るのはまぁ、そこそこでもいいんですよ。お花見みたいな感じなんで。オフ会的なね、今これを読んでくれてる人たちもぜひ。
煩悩:この5万円には、交通費・飲食費も込みですから。新幹線のチケット、頑張ってぼくが買いに行って送ります。あとは、ポスターもいいよね。ななこちゃんの手書きのウンポポが。全部ね、おもしろいなあって思う。
-支援してくれた人たちへのリターンのために、また作っていくものもたくさんあるね
煩悩:一番思ったのは、ぼくってめっちゃピュアなんやなあって思った。やっぱり、みんなあんまりちゃんと考えられてない気がする。色んなことに対して、社会に圧迫されてる感じ。余裕がない、というか。僕はとりあえずアルバム作りたい。で、MVを撮りたいのよ。だから、クラウドやってる。支援してほしいし、みんなに知ってほしいから、煩算もやってるしね。
内藤:控えめに言って、世の中の人は支援をした方がいいと思う。実際に手に届くものも、いろんな意味でボリュームのすごいものが届くわけだし、特別な意識を持たずに、支援をした方がいい。
やっぱり、Amazonで注文するのと、このリターンでポチッとするのとじゃ意味違う気がするけど、それが一緒であってほしいよね。
Interview|Yamaguchi Nanako
Edit Assistant|Baba Satomi
Photographer|Naito Manabu,Yamaguchi Nanako
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残12日!【清水煩悩3rdアルバム&MV制作】奈良県天川村レコーディング!雪山でMVを撮りたい!
https://camp-fire.jp/projects/view/198665
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Profile
映像ディレクター
内藤学(Naito Manabu)
1992年東京都中野区出身。日本大学芸術学部を中退後、テレビアニメーション業界を経て、映像制作会社でディレクターとして活動する傍ら、インディーズでの映像制作にも取り組む。
清水煩悩との第1作目、「大天国」official music videoは国内外のコンペティションに出品中。今夏より、「むこうぎしサウンド」と題したプロジェクトを開始。最近の趣味は散歩とスーパー銭湯、家の掃除。
稀代の変哲
清水 煩悩(Shimizu Bonnou)
1992年生まれ、和歌山県和歌山市出身。2016年から活動をスタート。水曜日のカンパネラ・コムアイ、奇妙礼太郎、石川浩司、坂本龍一、長嶋りかこらが賞賛する音楽家。現在は2019年9月20日に103歳でこの世を去った“台湾独立運動のゴットファーザー”こと革命家・史明氏が開業した池袋の中華店・新珍味に居住している。
2016年11月、J-WAVEラジオSPARKにて水曜日のカンパネラ・コムアイに「天才じゃない?」と賞賛される。その後、2017年3月に自主制作盤『みちゅしまひかり』を発売、同年には奇妙礼太郎主催ライブ〈同じ月を見ている〉に出演。
2018年4月にP-VINE流通協力のもと、2ndアルバム『ひろしゅえりょうこ』がSNEEKER BLUES RECOREDSから全国リリースした。同年12月には小泉今日子がポップアイコンを努めるFODオリジナル音楽番組「PARK」でTV初出演を果たす。
2019年1月、下北沢 風知空知にてMusicVideo先行上映会&トークショーと題して製作関係者が一同に会したイベントを開催。その後、同年の秋に奥多摩の森で「まほう」「リリィ」の2曲を収録、むこうぎしサウンドのプロジェクトとして公開される。現在は新アルバム・MV制作のために150万円クラウドファンディングを実施中。それと連動し、10月からradioDTMの公式サイトで対談企画『煩算』を連載している。同月、坂本龍一がナビゲートするスペシャル・プログラム。2か月に一度、オンエアしているJ-WAVE「RADIO SAKAMOTO」にて、奥多摩の森で2曲30分一発録音されたライブビデオ「まほう」「リリィ」が優秀作として紹介され、坂本龍一や長嶋りかこが賞賛のコメントを贈った。
Twitter: https://twitter.com/shimizubonnou
Instagram: https://www.instagram.com/shimizubonnou/
Conversation Archive
『 煩算 』+7【前編】内藤学(むこうぎしサウンド代表・映像ディレクター)
『 煩算 』+7【中編】内藤学(むこうぎしサウンド代表・映像ディレクター)