クラウドファンディング連動企画 ▽池袋の中華料理屋に住むミュージシャン清水煩悩の対談連載企画『 煩算 』+6 石川彩香(武蔵野美術大学職員)

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「稀代の変哲」とも称され、水曜日のカンパネラ・コムアイなどからも称賛を得るミュージシャン、清水煩悩が対談連載企画『煩算』をスタート。

音楽家、囲碁インストラクター、武蔵野美術大学職員、一橋大学社会学研究科 博士号課程、僧侶、芸術家、俳優、ラジオパーソナリティーといった様々なジャンルの「巷の人」をゲストに迎えつつ、足したり引いたり掛けたり割れたりしながらトークを展開。

来年リリース予定の3rdアルバムやミュージック・ビデオへと繋がるであろう本企画。

清水煩悩が、何を誰と語り合うのか、CAMPFIREで開始された150万円クラウドファンディングと合わせて、是非とも注目してほしい。

いよいよ、クラウドファンディング終了まであと12日。第6回目となる今回は武蔵野美術大学の職員である石川彩香をゲストに迎える。収録場所は花小金井公園。「制作の制約」「自身の銅像」「たくさんつくらなくてもいい」「絵本」とものづくりとの向き合い方から問題を捉える。

それでは『煩算』第6話、お楽しみくださいませ。

 

漢字は意味を持ちすぎる

-石川さんから見て煩悩君の第一印象はどうですか?

石川:煩悩くんの見た目が特徴的だから、最初はビビってたわけですよ。話が通じなかったらどうしよう、みたいな感じ。対談相手が私みたいな人間でもいいのかなと思って。

煩悩:私みたいな人?

石川:私は普通だから、もっと個性的な人と喋った方が楽しいんじゃないかなあって。けど、煩悩君の作品を観たり、文章を読んだりして、印象が変わった。単純な理由だけど口調が優しいし、「この人は、多分いい人だ」と思った。それで「喋ってみたいな」って。

 

-”いい人”っていうのはどういうところから?

石川:田代(※『煩算』第3回ゲスト)も言ってたけどさ、ひらがな使うよね。

煩悩:使う。でもそれあんまり言われやんくて、この前の対談で田代さんに言われたのが初めてかも。ひらがな好きなんよね。

石川:漢字に変換すると意味を持ちすぎるなと私は考えていて。伝えるためにそれが必要なこともあると思うんですけど、生きてたら不確定要素も多いし、決めつけなくてもいいのになと思ったりもして。だから、ひらがなを使っているのを見て、私が考えてることと一緒なのかなと思って。

煩悩:いきなり本質っぽい話になってるけど、考えてることって何?(笑)

石川:私はみんなが幸せであってほしいと思っているし、みんながそれぞれ生きやすかったらいいのになと思ってるんですけど、世の中には決めなきゃいけないことや、時間、制約があって。本当はもっと自由でいいのになと思う。そういう中で「自由度」を持たせてくれる言葉の選び方がすごく素敵だなと思った。

煩悩:それはよかった。

 

−石川さんの印象は?

煩悩:いいムードが出てる、と思った。褒めてるとかどうこうじゃなくて、ミュージシャンっぽいっていうか、「悩んでる人やな」と。僕は考えるのが好きで、それがいいことでもあり悪いところでもあるんやけど、その考えてる感じが似てそうやなって。

石川:考えがちかもしれない。

煩悩:考えることって絶対やめやんほうがいいと思ってて。ひらがな使ってんのも「答えを出す」ことが好きじゃなくて使ってるんかも。僕はなぞなぞ好きなんやけど、答え分からん問題があったら、その問題の答え見やんと分からんまま放っといて、またその問題に出会うまで放ったらかしにしておく方が良くて。解ったやつだけ答え合わせするみたいな感じなんよね。漢字を使うと、凄く限定的で固い感じがする。漢字の持つ固さより、少しやわらかく言いたい気持ちがあってひらがなを使ってるんかも。まああとは、単純にひらがなが好き。もう一つの石川さんの第一印象は、考えてる一方で、全部をロジックで捉えてるわけでも無くて、行くときはバーン!っていきそう。

石川:そうかもしれない。感情と思考と、どっちかのエンジンが強い人かも。感情が強いときもあれば、考えが先行するときもあって、いつそのハンドルがきられるか自分でもわからない(笑)。

煩悩:そういう意味で良いムードやなって思う。多分やけど、僕が2人で遊べるタイプかも。この人一緒にいるとき喋らんでも怒らんやろうなみたいな。第一印象でそこまで思うことってあんまりないかも。

石川:確かに空気感はいいかも。初対面の人とも喋れるんだけど、意外と人見知りするんですよ。

 

クラウドファンディングは、賛同してくれる人が目に見えてわかる

石川:ミュージック・ビデオ、雪山で撮るんですか?

煩悩:撮る。

石川:それ楽しそうだなと思った。

煩悩:楽しいと思う。なんかね、あんまり雪山以外のイメージがなくて、それだけは確定かな。「まほう」っていう曲のミュージック・ビデオなんやけど、ライブでも1曲で35分くらい演っちゃえるような曲。なんとなくあの辺に行きたいけど、こっちかわからんけど多分こっちやな、みたいなその感じが雪山っぽいなって。

石川:私も作品とか作るときに、「こういうところで展示したら、この作品はもっといいものに近づくな」っていうイメージがあっても、場に制約があったり、実現不可能だったりしてすごく残念に思うことがある。それが実現できるのならしたいじゃないですか。だから雪山で撮ってほしいなって思う気持ちがあって。そういう意味で、お金を集める手段としてクラウドファンディングをするのはいいなぁと思った。その想いが伝わってほしい。クラウドファンディングって、賛同してくれる人が目に見えてわかるじゃないですか。もちろん、気持ちでは思ってる人はいるかもしれないけど、それって目に見えない。応援する気持ちが形で目に見えて、それが集まっていいものが生み出されることって、クラウドファンディングでしかできないこと。そういうツールを使って実現するっていうのはいいなと思うし、クリエイターとして憧れる。

 

−制作を制約されるときって、主にどんな時?

石川:武蔵美の卒業制作で、5mくらいのすごくでっかい犬を作ったんですよ。犬のぬいぐるみに寄りかかったり寝そべったりして、作品と関わることで生まれるコミュニケーションみたいなものを含めて作品にしたかったんですよね。でも5mは大きいじゃないですか。だから、その辺のギャラリーには置いてもらえない。あとやっぱりギャラリーは絵を飾る場所だ、みたいな固定観念もあって。見る人が関わる作品をインスタレーションって言うんですけど、インスタレーションの作品って置ける場所がすごく限られる。でも、その作品を置けばその場がもっと良くなったり、人やものとの関わり方が変わっていったりするのに、その制約があることがもったいない。

煩悩:場所じゃないんよな多分。人の問題。場所なんてそこらへんにいっぱいあると思う。置こうと思ったら置けるけど、人とか環境的な問題で整ってない。

石川:よくいわれるのは、管理ができないとか。作品が破損することに責任を持てなかったり、作品で怪我したらどうするのって言われたりする。

 

−卒業制作はその後、小学校においてもらったんですよね

石川:そう!2年くらい置いてもらったかな。それは、同じ活動をしていた先輩が、副校長に私の作品を伝えてくれたみたいで、そしたら「うちの学校に置かせてほしい」て言ってくれて。そういう責任を持ってくれる人がいないと置けないんですよね。でも私の作品は、その学校に置いてもらったことで、作品がもたらす影響をすごく見れた。置いてもらった教室は、教室で勉強するのが大変になった子や、パニックになって教室にいられない子たちがリラックスする休憩部屋みたいなところになってて。その子たちが私の作った犬にハグしたり、ごろんってしてからだと、また教室に帰れるって言っていて。私の作ったものにそういう力があったんだなって気づかされた。

煩悩:本来の作品のあるべき形やなって気がする。

石川:普段、作る意味って何だろうとか結構考えちゃうんです。結局作って何になるんだろうとか。けど作ってどこかに置いていれば、必ずそれに影響されてる人がいるんだと感じられたのは大きい体験だったかもしれない。音楽作ってる中でそういうのはありますか?

煩悩:音楽に対してはすごくシンプルで、ミュージシャンで言うと「作る」っていうのはアルバムとか音源とかになるわけやけど、2派あって。音楽って霧消していくもんやから、その瞬間の音の粒的なものが人の体に触れて、感じられるものが音楽。だからアルバムとかは本来作ってはいけないみたいな思想もあるわけ。だから作ってない人もおる。その人たちの気持ちは、僕はすごくわかる。ライブとかの今しかない瞬間って、ほんとにその時しかないから…ギターとかも、例えばCコードとか弾いたとして、ドっぽい音がなるわけよ。でも押さえる指がちょっとズレただけでレの方に寄って、レ寄りのドっぽい音になるわけやん。同じドだけでも幅がある。そういうこととかも考えると、どんどん自分と向き合う時間が長くなる。それが楽しいんやけど。
そういうことを踏まえたうえでも、僕はやっぱり「作りたい」っていう側。作る意味がわからんから作っちゃうっていうのもあるかもしれんけど。それこそ、わからんままでいいかなって思う。わからんことっておもろいから、どんどん増えてくるし、ちょっとわかったことって自分の体になじんで自分のものになって、一体化して忘れちゃうみたいな。本とかそうやん。読んだら、その物語味わったけど、2週間後くらいにはその時の感じはないし、1年経ったら「あの話なんやったっけ?」ってなるけど、一瞬でも自分の体には入っていてそれが循環してるみたいな。音楽もそういうもんやろうなぁと思って。…まぁでも結局僕は作品を作りたいだけなんやけど。でも「作らん」っていう選択肢はないかな。

 

煩悩:ファーストとセカンドを配信にかけてたんやけど今ストリーミングをやめてて。Youtube以外で今僕の作品がそういう形で聴けるところはないんやけど、次のこのクラウドファンディングで作るアルバムはストリーミングもやろうと思ってて。けど不思議と、ストリーミング止めたらみんなに「もうストリーミングやらないんだよね」って言われる。だから「次のやつやりますよ」って言ったらびっくりされる。なんで一回やめたらもうやらん人みたいになるの?って思って。僕は普通に、今出てるやつを止めたくて、次のアルバムを出してから、気が向いたらまた再開しようとか考えてたんやけど、そういうのって言っていかないと伝わらんのやなあって。

石川:これ、まだあんまり人に話してないんだけど、私病気かもしれなくて。検査してるんだけど、まだわからないんですよ。そういう状況になった時に「あ、作らなきゃ」って思ったんですよ。

煩悩:ああそれはね、すごいわかる。

石川:まだ全然死なないんだけど、自分が意識していなかった「死」というものをすごく近くに感じたときに、作んなきゃって思って。

煩悩:さっきのに付け足すとしたらそこで、その瞬間ごとに自分が納得できる状態で生きてるのが一番いいと思う。「今」が続いていく中で。そう考えると、作っちゃうっていうのはあるかも。限られてるから…。もし「死にません」とか言われたら、もうちょっと渋い人間になってからでもいいかなとか思うかも知らんけど、それはそれでつまんないとも思う。

石川:作らなきゃって思ったのは、今自分が生きてるとか、作ることが今を開拓するようなというか…何か残したいっていうものがあるのかもしれない。

 

ー自身の銅像を建てるというより、自分の中にあるものを出しておかなきゃいけない、みたいな感じ?

煩悩:それでいうと、俺は銅像建てたいタイプ。大仏の値段調べたことあって、多分自分で建てるのは無理そう(笑)。ちょっと話ズレるけど、インドにいってた時にタージマハル見て、すごい感動した。あれ、愛してる人に好きですって伝えるために建てたみたいなんやけど、めっちゃでかくて、かっこいいなあって思った。さっきの犬の話もそうやけど、想像より大きいものとかって、塔とかスカイツリーとかも、どんな人がどこにおっても見えたりするやん。ああいうことってすごい。そのもっと上に太陽とか月とかっていうのがあると思うんやけど。みんなが感じれるものってすごいなあと思ってて。だから僕はものすごく銅像建てたいタイプかも。

石川:主張するものですよね。それでいうと、私も銅像建てたいんですよ、結局は。

煩悩:自分の存在意義じゃない?おったんやけどーっていうのを。

石川:いるんだけどーみたいなのを刻むのが作品なのかな、みたいな。大きい銅像はいらないんだけど、小さい銅像くらいは建てておきたい。

 

バナナを真っ黒に塗って心配された

石川:1993年生まれ。3歳の時に、バナナを黒く塗りました。

煩悩:美味しくしたかったん?

石川:幼稚園で、バナナとぶどうとリンゴの塗り絵があって、その時にバナナを黒く塗りつぶしたら、先生に心配された。幼馴染のお母さんにも「あやちゃん家のバナナは腐ってるの?」って言われたり。ちっちゃい頃からウルトラマンが好きだったりとか、そういう子でした。そういう経歴を経て高校に入ったんだけど、美術コースのある高校を選んだので、ずっと美術をやってて。
美術を選んだのは、中学生の頃はすごく普通の子だったんだけど、中学3年生の時に「わたしはこのままこうやって生きていくのか?なにも武器がないな。」ってふと思ったんです。普通に勉強して、普通の高校に入って、卒業して結婚して、幸せな家庭を築くのか…?と考えたときに時に疑問が生まれた。わたしが過ごしたい一生ってこうじゃないなぁって。

煩悩:それが中3?芽生えが早い。

石川:芽生えというよりは、単純に普通の高校に行くことに疑問があった。勉強したいことがないし。そう考えたときに、工作が好きだったことを思い出して、わたしはもっと作ることを仕事にしたいと思って。それで高校を探していたら、美術科のある高校があったので、こういうところで作ったりしながら考えたいなぁと思って、そこに進学しました。

煩悩:そのまま大学でも美術を学び、みたいな?

石川:そう。大学でなにしようかなーって思ったけど、油絵にしようと思って大学で美大に。でも油絵学科なのに、入学してからは油絵を2、3枚しか描かずに、空間を作る作品に移行したんです。みんな絵描いてて、自分はそんなに上手くないし、絵画で表現したいことってそんなにないなって気付いて。それよりも、周りの人との関わりに興味があって、作品を間に挟んで誰かとコミュニケーションをとるような、装置じゃないけど、そういうものが作りたいなと思った。それは絵画でもできると思うけど、私は物とか場とかを作品としたいなと思ってそういう作品を作るようになった。
その中でやったもののひとつが、新しい物と古いものを比べるっていう作品。わたしがもう十何年も大事にしているぬいぐるみがあるんだけど、長い間触り続けているそのぬいぐるみと、買ってきた新しいぬいぐるみを並べて感じるっていう作品を作ったり。あとは、わたしはやっぱり人がいる場が好きで、そこから生まれるコミュニケーションがおもしろいなと思っているので、大学の中でカフェをやって、先輩とか同級生を呼んでそこでみんなでご飯を食べるって言うのをやった。制作のこととか、今夢中になっているものの話とか、いろいろ話すって言うのをやったりもした。あとは、「旅するムサビ」っていうプロジェクトでいろんな学校の子どもたちと関わっていく中で、人と人の間に入る緩衝材としての絵画っていうのも勉強して、やっぱりそういう「場作り」みたいなことをやりたいなっていうのが軸にあった。

煩悩:仕事とかはした?

石川:就活して、福祉系の会社に入ったんです。障害のある子どもたちとか、知的な問題があって授業で勉強するのが難しかったり、不登校になっちゃったり、いろんな理由で学校で学ぶことに困難のある子たちのサポートをする会社に入って、そこで子どもたちと一緒に勉強する仕事を2年くらい。そこの会社に入ったのは、美術を間において子どもたちがよりよく学校に関わってくれたらいいなと思って。まあ学校に行かなくてもいいんですけど。ただ、あまりにもその会社が激務だったのと、やりたいことが達成されなかったのでやめようと思って、それで今のムサビの仕事をするようになった。教職っていう、先生になるための課程があるんですけど、そこの資料室のスタッフをやっていて、学生の窓口でもあり、先生の手伝いをしたり、教職で勉強してる子たちの先生との仲介役とかやってるんですけど。結局、間に挟まってコミュニティを動かすことが好きなのかな。それをやりながら、フリーで仕事を受けつつやってます。あとは最近、絵本を作ってて。今日持ってきた。

 

煩悩:まじで?いいの?そんなん。もう出来上がってるやつ?

石川:そう。私が心を病んだ時にそれでもええやんって作ったやつで(笑)。

あ、じゃあ読みます。読み聞かせします。最近、大人の読み聞かせ会とかも行ってるんだよね。

 

石川:おしまい。

煩悩:ああ。いいなあ。

石川:今はちょっとモノ作りの形も変化して、間を繋ぐものというのは変わってないんですけど。それを絵本という媒体にして作っています。今までの作品は私がいなきゃだめだったけど、なんか絵本って私がいなくても間を仲介してくれるモノだなって思ってて。今度友達が精神科の受付でバイトをしているっていってて、今度そこに置いてもらえることになったので、とっても良いなって思ってて。そういう風にちょっとずつ伝わっていけばいいかなって思ってます。

 

煩悩:最後の三ページが最高。なんかここが言いたかったんかなって。最後のカットはなまけものを後ろから見てるかんじ?

石川:そうそう。

煩悩:ああ、ここでハッとしたかも。裏側からなまけものを見せるっていいと思う。別の視点もあるのって、一気に世界が広がる感じがして、いろんな人に読んでほしいって思って作ってるんやなって。

石川:絵本ってすごい子どものものって印象が強いと思うけど、むしろこれは大人の人っていうか。読んだ親御さんとかに感じてもらいたいなって。

煩悩:絵本って、子どもってこんなんで喜ぶよなって描かれてる絵本がだいたい僕は好きじゃなくて。子どもって言わんだけで結構いろんなこと気づいててバレてるから、音楽とかもそうで、子どもむけの歌とかって子どもっぽい歌作るとかナンセンスやなって思う。

石川:本当そう。子どもってわかってるから。

煩悩:ぼくはやなせたかしがけっこうルーツにあって。

いしかわ:やなせたかしの短編集、結構パンチきいてますよね。

煩悩:『十二の真珠』ね。やなせさんは子どもに失礼じゃないというか、ちょっと難しい言葉とか設定も出てくる。こどもが興味持つところってちょっと分からん言葉とか文字やったりするし、すごい気配りされてる。

石川:アンパンマンの歌とか超泣いちゃいませんか?

煩悩:ぼくはアンパンマンフリークでアンパンマンの映画とかめっちゃ見てて。対談じゃすまんぐらい喋ってしまう。『勇気の花がひらくとき』って歌がめちゃ好き。

石川:あれめっちゃいいですよね。

 

煩悩:アンパンマンはもう設定からおもしろいし、映画自体は一本60分とかしかなくて実は短いんやけど、子どものころは、今の2時間映画くらいに感じてた。どこでそう感じてたかって、最初の10分間で鷲掴みにされてたんやと思う。アンパンマン出てきて、バイキンマン出てきて、一回アンパンマンがバイキンマンをやっつけて、この間に音楽が3曲くらいかかって。それが終わると、「さあ本題です」って大人に向けて物語が進んで、つみき城とおりがみ島が喧嘩してます、みたいな設定が出てくる。「え?その二つが喧嘩してるんですか!?」って惹き込まれる(笑)。

 

たくさんつくらなくても、いい

−この煩算は、インディペンデントで行うものづくりがテーマでもあって。個人で仕事をうけてモノをつくるときとかに、辛いこととか楽しさとかあるかなって。

石川:私は基本的に孤独が苦手なんですよ。制作をしているのに。

煩悩:へぇ。

石川:作業は孤独なんですよ。没頭したら孤独じゃないけどエンジンかかるまでが孤独。なんなんだろあれ、うまく説明ができない。

煩悩:ぼくはあんまりそれが無くて。ミュージシャンとその話をするときも、無いというより分からん。考えたことがない。ぼくも没頭型で気が付いたら7、8時間ずっと太鼓ばっかり叩いてたみたいなことあるけど。孤独ってどういう感情?誰か居たらいいってかんじ?

石川:誰か居てほしい。

煩悩:あー。

 

石川:同じ作業してても隣に何もしゃべらない人がいたらそんな孤独じゃない。人に依存してるのかもしれないです、意外に。

煩悩:そう思いながらも作品は完成させてくわけやから、逆に孤独が制作のエネルギーになってるみたいなことはないん?

石川:孤独なんですけど、頑張るんですよ。結果的に出来上がったものを誰かに見せたりとか発表したりするのがモチベーションというか孤独を解消する手段としてあって、という感じかもしれない。

 

−インディペンデントでモノを作る時って、個人的にはみんながやってないからこそ、楽しいけど不安になることもある。みんなどうやってその肩の力を抜いてるのかが気になる

石川:私は、ある種ちょっとそこは折り合いがついてるかもしれないですね。作らなきゃっていう時期はこえて、作りたいときに作ればいいっていう、その動機付けがあればやるっていう。私はさっきも話した通り他人に見せたりとか、見せる場があるっていうのがモチベーションになってるので、それがなければ別にそこまでたくさんモノを作らなくていいと思ってて、そこのバランスは自分でとれるようになってきたなって思う。

−それは、たくさん作らなきゃって思ってた時期も経て?

石川:そう。なんか「美大モノ作らなきゃ死ぬ病」みたいなのあるじゃん。モノつくってないと、人間として見てもらえないみたいな、あれは卒業してから2年くらいは引きずってた。

−その2年に何か変わったことがあったんですか?

石川:何があったんだろうなあ、2年間あんまりモノを作らなかった。仕事が忙しすぎて、モノを作れなかった。その期間を経て、作らなくても人は生きていけるけど、作っていたほうが楽しい、みたいな気持ちに切り替わった。そこから、たくさんじゃなくてもいいから、たまにモノを作ればいいんじゃないみたいな思考回路になったのかもしれない。

 

−作ることでバランスとってたのが、急に作れなくなるからそれで美大卒はみんな崩れるんだろうな。社会の型に無理にハマろうとして、無理をしてしまう。

石川:ハマりにいかなくていい。でも型にハマる機会も大切だと思う。やってみてわかったこととか、知らなかったこととか知れたし。ぜんぜん美術と関係ない会社にはいったんですけど、その中でもモノ作りよりのライターとかになった子たちと話してたのは「無理して働かなくていい」っていうこと。自分の働くバランスは自分で考えて暮らしていけばいいってことを考えられたのはよかった。ライフバランスをあと5年くらいで整えたい。

 

やりたいことがいっぱいある

−これからやりたいなと思うことはありますか?

石川:結構いっぱいあって、絵本をたくさんの人に読んでほしいので出版したいなってのがひとつ。

煩悩:絵本?

石川:絵本。今ちょっとずつ自分がいいなって思う絵本を集めてるので、その絵本を集めて人が集まるカフェを作りたいなっていうのがあって、それができたら私はすごい満足いく人生になると思う。あと、やりたいこといっぱいあるんですけど、人を繋げるワークショップとかがやりたいなって。人と人と場も繋げたいし、人と人と作品も繋げたいし。そういう繋げる活動をこれからもやっていきたいなって思ってます。そんな感じです。絵本のカフェが作りたいんですよ、本当に。

煩悩:作ろうよ。作れると思う。

石川:実現させます。理想のカフェが、東小金井の花屋さんの一角に小屋を建てて、その小屋で鉄瓶で沸かしたお湯でコーヒーをいれてて。

煩悩:おいしそう。

石川:その外にはイスとか薪の暖炉が置いていて、そこでコーヒーを飲むんですけど、すごい素敵だなって思ってて。学校帰りの子供とお母さん、小説家とかクリエイターの人が集まってきて、そこでお話ししてるのをみて、こういう空間が作りたいって。そこに、絵本がたくさんあったらいいなって。絵本だけじゃないけど、私が良いと思ってるものがたくさん並んでて、それは大人も子どもも問わず手に取れるようにしておく。その経験がまた大人になってからあの時あの本読んだなとか思ってくれたら、すごく幸せな空間になる。それを絶対やりたいなと思う。

煩悩:全体的に一貫してるからやれると思う。

石川:そしたら、お店に来て歌ってもらえるようにしたいです。

煩悩:店内の音楽作るよ。

石川:あー最高!作ってほしい。お願いします。

煩悩:ふふふ、こちらこそ。

 

 

 

Interview|Yamaguchi Nanako

Edit Assistant|Baba Satomi

Photographer|Naito Manabu

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残12日!【清水煩悩3rdアルバム&MV制作】奈良県天川村レコーディング!雪山でMVを撮りたい!

https://camp-fire.jp/projects/view/198665

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Profile

武蔵野美術大学職員
石川彩香(Ishikawa Ayaka)

1993年生まれ。東京都出身。
現在は母校の大学職員をしながら制作や造形ワークショップなどの活動を続けている。
“つなげる・つながる”をモットーにしており、現在よりよい生き方を模索中。
将来の目標は絵本のあるカフェを営むこと。

 

稀代の変哲
清水 煩悩(Shimizu Bonnou)

1992年生まれ、和歌山県和歌山市出身。2016年から活動をスタート。水曜日のカンパネラ・コムアイ、奇妙礼太郎、石川浩司、坂本龍一、長嶋りかこらが賞賛する音楽家。現在は2019年9月20日に103歳でこの世を去った“台湾独立運動のゴットファーザー”こと革命家・史明氏が開業した池袋の中華店・新珍味に居住している。

2016年11月、J-WAVEラジオSPARKにて水曜日のカンパネラ・コムアイに「天才じゃない?」と賞賛される。その後、2017年3月に自主制作盤『みちゅしまひかり』を発売、同年には奇妙礼太郎主催ライブ〈同じ月を見ている〉に出演。
2018年4月にP-VINE流通協力のもと、2ndアルバム『ひろしゅえりょうこ』がSNEEKER BLUES RECOREDSから全国リリースした。同年12月には小泉今日子がポップアイコンを努めるFODオリジナル音楽番組「PARK」でTV初出演を果たす。

2019年1月、下北沢 風知空知にてMusicVideo先行上映会&トークショーと題して製作関係者が一同に会したイベントを開催。その後、同年の秋に奥多摩の森で「まほう」「リリィ」の2曲を収録、むこうぎしサウンドのプロジェクトとして公開される。現在は新アルバム・MV制作のために150万円クラウドファンディングを実施中。それと連動し、10月からradioDTMの公式サイトで対談企画『煩算』を連載している。同月、坂本龍一がナビゲートするスペシャル・プログラム。2か月に一度、オンエアしているJ-WAVE「RADIO SAKAMOTO」にて、奥多摩の森で2曲30分一発録音されたライブビデオ「まほう」「リリィ」が優秀作として紹介され、坂本龍一や長嶋りかこが賞賛のコメントを贈った。

Twitter: https://twitter.com/shimizubonnou

Instagram: https://www.instagram.com/shimizubonnou/

Conversation Archive

『 煩算 』+1 田渕徹(音楽家)

『 煩算 』+2 長谷俊(囲碁インストラクター)

『 煩算 』+3 田代友紀(俳優)

『 煩算 』+4 アンジー、スティーブン(大学院生)

『 煩算 』+5 稲田ズイキ(僧侶)

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