radioDTMリスナーの皆さん、お疲れ様です。
コヤマリョウです。
先日、兄の家に行った。目的は甥っ子と姪っ子に会う為。
これが実に楽しい、特に四歳になる甥っ子と遊ぶのが楽しい。言い方は悪いが、別の生き物と接しているようで、毎回発展と発見があり飽きる事がない。
そして、必ず兄の家に行くと兄への尊敬を感じる。
実家から歩いて一分の場所に家を借り、家族四人で暮らす兄は立派だ。毎回その事実に打ちのめされる。
早くに実家を出て、自転車で十五分の場所に住んでいるクセにたまにしか帰らず、帰ったら帰ったで飯を食って寝ているだけの私からすれば、
兄も義姉も本当に凄いと思う。
歳を重ねるにつれ、その当たり前が難しいという事を身を持って知り、
歳を重ねるにつれ、家族の事を現実的に考えるようになる。
三十歳を目前に控え家族という単位をよく考えるようになった。
今回はそういう話。
このコラムでは私コヤマリョウが好きなモノを、文化人気取りでジャンルに拘らず節操無く紹介していきます。
あくまでも個人的な視点で対象に対して思った事・考えた事を書いていこうと思います。
このコラムで興味を持ってもらえたり、飲み会のネタの一つになってもらえれば光栄です。
テーマは「曝せ、SKY(サブカルクソ野郎)」です。
簡単に言うなら、今の私は独身の末っ子という立場にある甘い汁を存分に啜っている。
どの家族にもあるそれなりの煩わしさと向き合うのは、幸せの証拠だけど面倒くさい。
そんな私の痛い所を突ついてくる映画を今回は紹介します。
「東京家族」(監督・山田洋次)
小津安二郎監督の名作「東京物語」を山田洋次監督がリメイクした人間ドラマ。
東京でそれぞれがそれぞれの暮らしをしている三人の兄妹の元に田舎から両親が訪ねてくる所から映画は始まります。
離れて暮らし、それぞれがそれぞれの歳の重ね方をしてそれぞれの場所を作っている。当然、家族の知らない一面を持つ。その知らない一面を大人なりのぎこちなさで少しずつ分かり合っていく物語です。
この映画は良い映画で素晴らしい人間ドラマである、という前提で読み進めて欲しいのですが、
この物語は家庭や生活に転がった偽善や見栄や羞恥心が詰まった作品です。
そして、それが疼くように体が反応する。
少なくとも、私にとってはそんな作品でした。
両親が上京してきて自分の家に泊まるのは、嬉しいけど面倒くさい。
嫁や婿が気を使っているのが分かるから、それに対しても気を使う。
自分が日本を立て直したという自負を持つ老人と、日本に希望が持てない若者、
そのすれ違いを聞き流す事でしか、その場を凌ぐ事は出来ない。
家族だからこそ正直になれない部分がある。
そういった気持ちを呼び起こされるドラマになっている。
物語の終盤、フリーターを続け両親に心配ばかりかけている歳の離れた末っ子が恋人の助けを借りて、父親とのわだかまりが溶けたようなハッピーエンドに見せる。
しかし、私は「この先もっと面倒くさいよ」と近い未来を登場人物達に思ってしまう。
この映画を見て「良かった良かった」と手を叩ける程、私は幸せ者ではない。
是非ともこの映画を、
家族という存在を丁度良い煩わしさと生活の糧に出来る準備と覚悟が自分にはあるのか、
という視点で見てもらいたいです。
そして、再生環境があるならブルーレイで見てもらいたい。生活の色が物凄く綺麗に写っているからだ。
派手なアクションシーンやCGがなくても、人間の生活をくっきり見れる事がこんなにもド迫力の映像になる事が知れます。
最後に、私はこの映画を見て、
自分は準備も覚悟も出来ていない事がよく分かった。
それと同時に、今の独身でプラプラした状態の幸せが分かった。
私はこの映画を見て、強くなったし弱くなった。
【コヤマリョウ】